【思い込みのからくり】第2回:「私はこういう人だから」が可能性を狭めている

【思い込みのからくり】第2回:「私はこういう人だから」が可能性を狭めている
「私は、こういう人だから」
「私は人見知りだから」
「私は飽きっぽいから」
「私は積極的な性格じゃないから」
「私は昔から自信がないから」
「私は人付き合いが苦手だから」
そんなふうに、自分自身を説明することはありませんか。
自分の性格を知っていることは、とても大切なことです。
自分が得意なこと、苦手なこと、心地よく感じること、負担に感じることを知っていれば、無理のない選択ができるようになります。
けれど、ときには「自分を知るための言葉」が、自分を縛る言葉になっていることがあります。
性格だと思っているものは、本当に生まれつき?
例えば、「私は人見知りだから、人の多い場所は苦手」と思っているとします。
確かに、もともと一人で過ごすことが好きな人もいます。
大勢の人といるより、少人数でゆっくり話すほうが心地よい人もいるでしょう。
それなら、それは無理に変える必要はありません。
でも、もし過去に人前で話して失敗した経験があったり、誰かに否定された経験があったりしたことで、「人前に出るのは怖い」と思うようになったのだとしたら。
それは、生まれつきの性格というより、経験から身についた反応なのかもしれません。
「私は人見知りだから」という一言の中にも、いろいろな理由が隠れているのです。
「私はこういう人」という言葉には力がある
私たちは、自分について何度も同じ言葉を使っていると、それを事実として受け入れやすくなります。
「私は運が悪い」
「私は恋愛がうまくいかない」
「私は仕事が続かない」
「私はお金を貯められない」
「私は人から好かれない」
最初は、ある出来事について感じたことだったのかもしれません。
ところが、何度もそう思っているうちに、
「私は、そういう人間なんだ」
という自己イメージになっていきます。
そして、その自己イメージに合う出来事を、無意識に選んだり、見つけたりすることがあります。
反対に、自分のイメージと合わない出来事には、気づきにくくなることもあります。
「私は運が悪い」と思っている人は、うまくいったことよりも、うまくいかなかったことのほうを強く覚えているかもしれません。
「私は人から好かれない」と思っている人は、誰かから大切にされた経験があっても、「たまたま」と片づけてしまうかもしれません。
思い込みは、現実を見るフィルターになる
私たちは、何もないところから世界を見ているわけではありません。
これまでの経験や価値観を通して、目の前の出来事を見ています。
同じ出来事が起こっても、人によって受け取り方が違うのは、その人が持っている「フィルター」が違うからです。
例えば、仕事で注意されたとき。
「やっぱり私は仕事ができない」と受け取る人もいれば、
「次はここを直せばいいんだ」と受け取る人もいます。
誰かに断られたとき、
「私は必要とされていない」と思う人もいれば、
「今回はタイミングが合わなかっただけ」と考える人もいます。
起きた出来事は同じでも、その意味づけは違います。
そして、その意味づけが、その後の行動を変えていきます。
「私はこういう人だから」で終わらせない
もちろん、自分の性格を理解することは悪いことではありません。
大切なのは、
「私はこういう人だから」
のあとに、
「だから、どうしたい?」
を続けてみることです。
「私は人見知りだから、初対面の人と話すのは苦手。でも、信頼できる人とは深く付き合いたい」
「私は慎重な性格だから、すぐには決められない。でも、時間をかけて納得したことなら動ける」
「私は飽きっぽいから、同じことを続けるのは苦手。でも、新しいことを次々に学ぶのは得意」
こうして見ていくと、短所だと思っていたものが、別の角度から見えてきます。
人見知りは、慎重さかもしれません。
飽きっぽさは、好奇心の強さかもしれません。
慎重さは、物事を深く考える力かもしれません。
「性格を変えなければ」と思わなくても、見方を変えるだけで、使える力が増えていくことがあります。
過去の自分と、今の自分は同じではない
もう一つ、忘れてはいけないことがあります。
それは、過去の自分と今の自分は、同じではないということです。
以前は苦手だったことが、今はできるようになっているかもしれません。
昔は怖かったことに、今なら向き合えるかもしれません。
若い頃には考えられなかったことが、今だからこそ分かることもあります。
それなのに、
「私は昔からこうだから」
という理由だけで、今の自分まで決めてしまう。
これは、とてももったいないことです。
人は、経験するたびに変わっていきます。
考え方も、価値観も、できることも変わります。
だからこそ、昔の自分が決めた「私はこういう人」という定義を、今の自分がそのまま引き継がなくてもいいのです。
自分に貼ったラベルを、一度外してみる
「私は○○な人」
という言葉を、少しだけ変えてみましょう。
「私は○○な人」ではなく、
「私は、これまで○○だと思ってきた」
と考えてみるのです。
この違いは、とても大きいものです。
「私は人付き合いが苦手」
ではなく、
「私は、人付き合いが苦手だと思ってきた」
「私は失敗しやすい」
ではなく、
「私は、失敗すると怖いと思ってきた」
「私はお金に縁がない」
ではなく、
「私は、お金について不安になることが多かった」
そうすると、「これからもずっとそうでなければならない」という感じが少し薄れてきます。
それは、過去を否定することではありません。
過去の自分を認めながら、未来まで同じだと決めないということです。
「本当の私は、どんな人?」
ここで、一度自分に問いかけてみてください。
「私は、こういう人だから」
という言葉を、三つくらい思い浮かべてみましょう。
そして、その一つひとつについて、
「それは、本当に生まれつき?」
「いつ頃から、そう思うようになった?」
「その考えは、今の私にも当てはまる?」
「その性質は、別の見方をすると長所にならない?」
と考えてみてください。
もしかすると、これまで短所だと思っていたものの中に、あなたの才能が隠れているかもしれません。
弱さだと思っていたものが、誰かへの優しさにつながっているかもしれません。
遠回りだと思っていた経験が、今のあなたにしかできないことにつながっているかもしれません。
あなたは、思っている以上に自由になれる
「私はこういう人だから」
という言葉は、自分を理解するための言葉にもなります。
でも同時に、
「だから、これしかできない」
という制限にもなります。
もし今、何かを諦めようとしているのなら、一度だけ問いかけてみてください。
「本当にできないの?」
それとも、
「私は、できない人だと思い込んでいるの?」
その違いに気づくだけで、見える景色が少し変わるかもしれません。
あなたは、過去の経験だけで決められた存在ではありません。
これまでの自分を大切にしながら、これからの自分を選んでいくこともできます。
「私はこういう人だから」と決めつけるのではなく、
「今の私は、どうありたい?」
と問い直してみる。
思い込みのからくりを知るということは、自分を否定することではありません。
自分につけていたラベルを一度外して、本当の自分の可能性を見直すことなのです。
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