【思い込みのからくり】第11回:「どうせ私なんて」が可能性を閉ざしている

思い込みのからくり|第11回
「どうせ私なんて」が可能性を閉ざしている
「どうせ私には無理」
「私なんて、そんな大した人間じゃない」
「今さら始めたところで、うまくいくはずがない」
あなたは、自分に対して、こんな言葉をかけてしまうことはありませんか?
誰かに否定されたわけでも、挑戦して失敗したわけでもない。それなのに、何かを始めようとしたとき、心の中から「どうせ私なんて」という言葉が浮かんでくる。
本当はやってみたいことがある。
少し気になることもある。
今の自分を変えたいという気持ちもある。
それなのに、自分にはできない理由ばかりが浮かんできて、結局、何も始めないまま終わってしまう。
もし、そんな経験があるのなら、一度立ち止まって考えてみてほしいのです。
その「どうせ私なんて」という言葉は、本当に事実なのでしょうか。
「どうせ私なんて」は、いつから自分の口ぐせになったのか
私たちは、生まれたときから自分の可能性を疑っていたわけではありません。
幼い頃は、できるかどうかを深く考える前に、興味を持ったことに手を伸ばしていたはずです。
けれど、成長するにつれて、周りの人と比べられたり、失敗を笑われたり、頑張ったのに認めてもらえなかったりする経験を重ねることがあります。
「あなたには無理なんじゃない?」
「もっとできる人がいるよ」
「そんなことをして、何になるの?」
実際に誰かから言われた言葉が心に残ることもあれば、自分で周囲の反応を受け取り、「私は人より劣っているのかもしれない」と感じることもあるでしょう。
そして、傷つくことを避けるために、いつしか自分から可能性を閉じるようになってしまうのです。
期待しなければ、失望しなくて済む。
挑戦しなければ、失敗しなくて済む。
最初から諦めていれば、できなかった自分と向き合わずに済む。
「どうせ私なんて」という言葉は、そんなふうに自分を守るために身につけた考え方なのかもしれません。
だからこそ、この言葉が浮かんでくる自分を、責める必要はありません。
ただ、かつて自分を守ってくれた考え方が、今の自分にとっても必要なのかどうかは、改めて考えてみてもよいのです。
自分を低く評価すると、見える景色まで変わってしまう
「自分には価値がない」「自分にはできない」と思っていると、私たちは無意識のうちに、その考えを裏づける情報ばかりに目を向けてしまうことがあります。
例えば、新しい仕事に挑戦したいと思っている人がいるとします。
その人には、これまで積み重ねてきた経験も、身につけてきた技術もあります。
それでも、「自分には無理だ」と思い込んでいると、経験不足や苦手なことばかりが気になり、できることや自分の強みには目が向きません。
周りから「やってみたら?」と勧められても、「私より向いている人がいるから」と断ってしまう。
その結果、挑戦する機会を失い、経験を積むこともできなくなります。
そして、後になって「やっぱり私には何もできない」と感じてしまう。
けれど、ここで少し考えてみてください。
本当に能力がなかったから、できなかったのでしょうか。
それとも、できるかどうかを確かめる前に、自分には無理だと決めてしまったのでしょうか。
もちろん、挑戦したからといって、すべてが思いどおりに進むわけではありません。努力しても結果が出ないこともありますし、別の道を選んだほうがよい場合もあります。
大切なのは、成功するかどうかを最初から決めつけないこと。
自分を低く評価する思い込みが、まだ見ぬ可能性にまで「無理」という札を貼っていないか、確かめてみることです。
人と比べて、自分の価値を決めていませんか?
「私より仕事ができる人がいる」
「私より魅力的な人がいる」
「同じ年齢なのに、あの人はあんなに活躍している」
人と比べることで、自分の足りない部分ばかりが見えてしまうことがあります。
けれど、人にはそれぞれ、歩んできた道も、得意なことも、置かれている環境も違います。
誰かが得意なことを、あなたも同じようにできなければならないわけではありません。
誰かが早く結果を出したからといって、あなたの価値が下がるわけでもありません。
そして、今はまだできないことがあったとしても、それは「これからもずっとできない」という意味ではないのです。
私たちは、ときに一部分だけを見て、自分のすべてを評価してしまいます。
仕事で失敗したから、自分は能力がない。
恋愛がうまくいかなかったから、自分には魅力がない。
人間関係で悩んだから、自分は人付き合いが苦手だ。
けれど、一つの経験が、あなたのすべてを表しているわけではありません。
うまくいかなかった出来事と、あなた自身の価値は、分けて考えてよいのです。
できなかったことがある自分も、迷っている自分も、まだ成長の途中にいる自分も、そのまま認めてあげてください。
「どうせ私なんて」を、別の言葉に変えてみる
長い間、自分に言い聞かせてきた言葉を、すぐに変えるのは難しいかもしれません。
「私は何でもできる」
「私は絶対に成功する」
そんなふうに、無理に前向きな言葉を使おうとしなくても大丈夫です。
自分の気持ちがついてこない言葉は、かえって苦しくなることもあります。
まずは、いつもの言葉に少しだけ余白をつくってみましょう。
「どうせ私には無理」
↓
「今はまだ、できるかわからない」
「私には才能がない」
↓
「まだ十分に経験していないだけかもしれない」
「今さら始めても遅い」
↓
「今から始めたら、どんな経験ができるだろう?」
「私なんて選ばれるはずがない」
↓
「選ばれるかどうかは、相手や状況によっても変わる」
いかがでしょうか。
少し言葉を変えるだけで、結果を決めつけていた考え方が、「まだわからない」という状態に変わります。
この違いは、小さなことのようでいて、とても大切です。
「できない」と決めてしまえば、そこで考えることも、行動することも終わってしまいます。
けれど、「まだわからない」と考えられれば、調べてみる、誰かに相談する、小さく試してみるなど、新しい選択肢が生まれます。
自分を信じるというのは、何でもできると思い込むことではありません。
できるかどうかわからない自分にも、可能性を残しておくことなのです。
自信がなくても、小さな一歩は踏み出せる
自信がないとき、私たちは「もっと自信がついてから始めよう」と考えがちです。
けれど、自信は、何かを始める前に必ず備わっていなければならないものではありません。
小さな行動を起こし、その経験を積み重ねることで、少しずつ育っていくこともあります。
新しいことを学びたいなら、まずは本を一冊読んでみる。
やってみたい仕事があるなら、その仕事について調べてみる。
人との関係を変えたいなら、自分から挨拶をしてみる。
興味のある場所があるなら、まずは訪れてみる。
大きな決断をする必要はありません。
ほんの少し行動してみるだけでも、今まで知らなかった自分の一面に気づくことがあります。
思ったより楽しかった。
意外と自分にもできた。
うまくはいかなかったけれど、学べたことがあった。
そんな経験が、自分に対する見方を少しずつ変えてくれるのです。
もし途中でうまくいかなかったとしても、それで終わりではありません。
方法を変えることも、休むことも、別の道を選ぶこともできます。
一歩を踏み出すことは、必ず成功しなければならないという約束ではありません。
自分の可能性を、自分自身で確かめてみるということなのです。
あなたは、自分にどんな言葉をかけていますか?
私たちは、周りの人には優しい言葉をかけられるのに、自分には驚くほど厳しい言葉を向けてしまうことがあります。
友人が失敗したら、「大丈夫、次があるよ」と励ませるのに、自分が失敗すると「やっぱり私はダメだ」と責めてしまう。
大切な人が悩んでいたら、その人の良さを伝えられるのに、自分の良さはなかなか認められない。
もし、あなたの大切な人が「どうせ私なんて」と言っていたら、どんな言葉をかけてあげるでしょうか。
「そんなことないよ」
「あなたにも良いところがあるよ」
「一度やってみてもいいんじゃない?」
きっと、その人の可能性をすべて否定するような言葉はかけないのではないでしょうか。
それならば、あなた自身にも、同じように接してあげてほしいのです。
自分を甘やかすことと、自分を大切にすることは違います。
できなかったことを振り返り、改善することは大切です。
けれど、反省することと、自分の価値を否定することは同じではありません。
うまくいかなかった自分にも、これから成長していく余地があります。
今の自分に足りないものがあるなら、これから身につけていけばよいのです。
すべてを完璧にできなくても、今の自分にできることから始めればよいのです。
最後に、自分の可能性を閉じないために
「どうせ私なんて」という言葉が浮かんだとき、無理に打ち消そうとしなくても大丈夫です。
まずは、「私は今、自分には無理だと思っているんだな」と気づいてあげてください。
そして、そっと問いかけてみましょう。
「それは、本当に事実なのだろうか?」
「まだ試していないことまで、諦めていないだろうか?」
「もし失敗を恐れなくていいとしたら、私は何をしてみたいだろう?」
答えがすぐに見つからなくても構いません。
問いかけること自体が、自分の思い込みに気づき、これまでとは違う選択をするための第一歩になります。
あなたがこれまで自分に言い聞かせてきた言葉は、過去の経験から生まれたものかもしれません。
けれど、過去の経験だけで、これからの人生のすべてを決める必要はありません。
今までできなかったことが、これからもできないとは限らない。
今まで選ばなかった道に、新しい可能性があるかもしれない。
そして、今のあなたには、過去のあなたにはなかった経験や知恵が備わっているはずです。
自分を大きく見せる必要も、誰かと競い合う必要もありません。
ただ、自分の可能性を、自分自身の思い込みだけで閉ざさないでください。
「どうせ私なんて」を、「私にも、できることがあるかもしれない」に変えてみる。
その小さな変化が、これからのあなたの選択を変えていくかもしれません。
あなたの可能性は、あなたが今、自分に下している評価だけで決まるものではないのです。
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